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【関西】第17回「新現役宣言フォーラム in 関西」安藤忠雄氏を迎えて

 

日本の現在
~日本の現在~ 安藤忠雄氏(建築家)

 
 

ゲスト:安藤忠雄氏(建築家)
ホスト:岡本行夫氏(新現役ネット理事長)

今回は日本を代表する建築家、安藤忠雄氏をゲストにお招 きした。ホストは岡本行夫理事長。世界を舞台に最前線で活躍されるお二人の深い洞察力で「現在の日本」をテーマに論じていただいた。
 冒頭、矢野事務局長より新現役ネットの震災復興への取り組みや、岡本理事長の主催する東北漁港早期再開支援「希望の烽火」プロジェクトが紹介され、各方面の協賛企業や支援者への謝意を表した。

大震災─未だ聞こえぬ復興の槌音
 まずは岡本理事長が壇上に立つ。「日本が今危機的状況にある中、安藤氏のようなバイタリティーがあり人々に勇気を与えてくれるゲストをお招きする事ができ幸せです」と前置きの後、アメリカの評論誌「foreign policy」に寄稿された米国クリントン国務長官の論文を例に語り始めた。この中の一節に、『もう一度アジア太平洋の同盟関係を見直し、これからは3ジャイアンツ(アメリカ・インド・中国)の間で協力関係を深めていく』とある。この表明は日本の存在感の低下を間接的に示したものだ。「かつてアジアの大国であった日本はすっぽりと抜け落ちている。これは少なからず我々が招いてしまった事態である」と岡本理事長は訴えた。そして、達成がいよいよ困難になってきた普天間米軍基地移設を巡る日米合意、国内の意見集約がなされないTPPへの参加、国内では法人税収が20兆円から現在8兆円にまで落ち込んでいる現実。「日本の産業の担税力は縮小の一途である」と、暗い話題を羅列する事に躊躇しながらも、日本の置かれている現状をありのままに伝える。さらに東日本大震災からの復興という大命題を背負う日本は、まだその道筋を見い出していない。ここで米国海洋大気局発表の図をスライドに映し、いかに今回の震災が凄まじいものであったかを解説。地震発生時、太平洋の海面が全体隆起した事を示すこのデータによると、津波は震源地で4メートル、それがリアス式海岸に到達し16メートルになり、山や建物にぶつかって30メートルにもなり東北の人々に押し寄せた。被災地へも十数回通っている岡本理事長は、人々の生活を全て奪い去った自然の猛威を思い知らされながら撮影した、東北の沿岸500キロに渡って続く荒涼とした風景を投影。
 次に阪神・淡路大震災後にわずか2年間で奇跡的な復旧が行われた神戸埠頭を例に取った。工事を指揮した友人の運輸省第三港湾建設局長は、震災翌日すぐに復興計画の協議を開始、1ヶ月あまりで第二次補正予算案が成立した。埠頭の暫定復旧から本格復旧、資材や技術者を1カ所に集中させない方法、月200時間を超える残業を2年間続けた等の経緯を紹介。「国に仕える事を叩き込まれた役人の使命感とは、それほど激烈なものだ」と語った。しかし今回は政治主導のため官僚は迅速な動きをとれず、震災復旧は半年以上経っても先が見えない。安藤氏が参加している復興構想会議も大変素晴らしい答申が発表されたが、実際には手つかず。これは政治の怠慢である。「これまでの震災は施設の被害が中心。しかし今回は生活・生産システムまでもが破壊されている。この復旧を優先し、次にそれを支える意味で施設復旧をすべきだ。そうでないと街はよみがえらない。復興にこだわりすぎて復旧が進んでない。」現地との繋がりを密接にする岡本理事長の切迫した心境が参加者にも伝わった。
 最後に自身が主催する「希望の烽火プロジェクト」を紹介。東北の漁港を応急的にでも早く復旧させるべく、同志を集め立ち上がった。魚を水揚げしてもそれを保存する施設が無い。そのために冷凍コンテナを配り始めた。他にもフォークリフトやトラックなどが賛
同を得た各企業によって用意された。とにかく漁港は魚が上がれば皆が活気づく。しかし政府の復興がそれに続いてこない。地元を去ろうとする女川の水産業者を説得する場面もスライドに写し出される。「協賛していただいている企業はトップの決断が早く、問題意識があり仲間意識も強い。先程は日本の経済・政治の先行きが暗いと言ったが、圧倒的に優れているのが日本人の現場力だ。指揮官はダメでも下士官は優れている。それを今、東北の被災地をまわりながら感じている」と締めくくった。

日本の現在
 続いて安藤氏が登場。大阪は氏の出身地であり活動拠点である。その地元参加者を前に普段にも増してストレートな発言と辛口なユーモアが次々と繰り出された。岡本理事長の発言の多くに同調を示したあと、出演したあるTV討論会での事前の制約の多さを引き合いに、「日本が今なぜ元気が無いかと言うとまず本音を言わない事、前を向いてない事。戦後、日本人はどう生きてきたのか皆さんもう一回考えてほしい

詳細情報

イベント名 【関西】第17回「新現役宣言フォーラム in 関西」安藤忠雄氏を迎えて
講師 ~日本の現在~ 安藤忠雄氏(建築家)
対象者 全員可
開催日時 2011年10月25日(火) 18:30~20:30 午後6時30分(開場6時)
場所 大阪朝日ホール
参加費 正会員:500円  準会員:1,000円  一般参加者:1,000円  
正会員500円(準会員1000円)
定員  
参加条件
備考