コンピューター社会の行方を探る
「コンピューター社会の行方」を題材にした、第30回新現役宣言フォーラムが10月29日、東京都千代田区の科学技術館で開かれた。ゲストは組み込み型コンピューターの第一人者で、「どこでもコンピューター」という概念を世界に広めた東大大学院情報学環教授の坂村健氏。コーディネーターはプロデューサーの残間里江子氏。ホストは国際問題アドバイザーで新現役ネット理事長の岡本行夫氏。
30年もの間、コンピューター開発に携わってきた坂村氏は、昨年生誕60年を迎えたコンピューターを「目覚ましい小型化、高性能化、低価格化の進展で身近な存在になった」と振り返り、今の世界の関心事は「原理や技術そのものではなく、それを生活、社会の中でどう使いこなしていくかにある」と話す。
シンガポールのERP(電子式道路通行料金徴収システム)廃止など、コンピューター社会の今後を示唆する事例を引きながら、坂村氏は「どこでもコンピューター」の実現には、「豊富な事例研究に基づくイノベーション(革新)が大事」と指摘した。
目指すのは、「身の回りにあるものすべてにコンピューターが組み込まれる環境づくり」。
坂村氏は「社会全体のコストをいかに下げるかという発想。技術とそれを補う制度(仕組み)からなる社会インフラの整備が重要」と訴え、技術のみで解決しようとする日本の姿勢に苦言を呈する。
残間氏は「コンピューターを使うのは人。インフラはもちろん、人の心の整備も忘れてはならない」。岡本氏も「今やコンピューターなしでは生きてはいけない時代。コンピューターの最大のメリットは個人に力を与えてくれること」と応じた。質疑応答も活発で、会場を埋めた聴衆は皆、熱心に耳を傾けていた。
(2007/11/08)


